スーツはシャツで決まる

スーツを着た男性を前にした時、まず目につくのは、胸元のネクタイではないでしょうか。特に相手が椅子に座っている場合、上半身しか見えないうえ、まず顔を見て話をし始めると同時に、すぐその下にある襟元に目が行くからです。そしてそのネクタイの柄を見て、その人のファッションセンスが良いか悪いかが大体分かってしまうというのが、通常のパターンです。しかしよく考えてみると、ネクタイもその背後にあるワイシャツがあってこそ、引き立っていることに気付くのです。

例えばちゃんとアイロンをかけていないワイシャツだったら、どんなにセンスの良いネクタイであっても、みすぼらしく見えてしまうはずです。またスーツの色と合わないカラーシャツを着ていていら、その人の装いそのものが台無しになってしまうでしょう。このように男性のシャツは、スーツと同等なくらいに大切なアイテムだと言えるでしょう。そのため著名な店舗には、このアイテム一点だけを専門に販売している所もあるのです。

こうした店を訪れると、一般に考える以上のバリエーションがあることに気付きます。例えばサイズはもちろん、生地や素材の豊富さ、またTPOに応じたチェックやストライプの柄、さらに衿の形や全体のデザインの微妙な違いなどに驚くはずです。一見同じ形に見える男性用のシャツは、女性ファッションの豊富さに相当すると言ってもよいでしょう。そして一日の仕事を終えて、下着と同じように頻繁に替えたり選択したりする、いわば消耗品ですが、だからこそ一番オシャレをしたいアイテムでもあると言えるのではないでしょうか。